2017年2月12日日曜日

【書評】バフェット 伝説の投資教室 パートナーへの手紙が教える賢者の哲学

   

 1960年代のバフェット・パートナーシップ出資者への書簡をもとにした、バフェットの投資哲学の解説書。バークシャー時代のいわゆる「株主への手紙」を参考にした書物は多いが、バフェット・パートナーシップ時代の初期の頃の解説書は少ないので貴重。初めて知った内容も多く、興味深く読むことができた。

 このころのバフェットは、ジェネラル(いわゆるバリュー株投資)、ワークアウト(M&Aなどのイベントドリブン戦略)、コントロール(支配株主となって経営に参加)という異なる投資戦略を使い分けており、バークシャーが大企業になった後の、例えばビックフォー(アメックス、アイビーエム、コカコーラ、ウェルズファーゴ)に代表されるクオリティ株への長期投資戦略とはまったく異なっていたことがわかる。

 コントロール戦略においては、デンプスター・ミル社というネブラスカ州の小型株への集中投資を行い、多大なリターンを得た例について詳細に記述されている。

 このほか、クオリティ株への長期投資を行うようになってからのバフェットは、含み益の繰り延べ効果を強調することが多いと思うが、当時は繰り延べ効果に過度に固執するのはナンセンスで、十分に自信のある代替投資先がある場合には、含み益を実現させてでも銘柄の乗り換えを行うべきと述べている。

普段は非常に聡明な人たちが犯しがちな投資の過ちは、ほかでもなく節税目的によるものでしょう。私の友人で西海岸在住の著名な哲学者はいつも、大多数の人が犯す致命的なミスの原因は、自分が本当にしたいことは何かを忘れてしまうことにあるといいます。

 最近、日本株を中心に銘柄数が増えがちで過度に分散したポートフォリオになっている気がするし、NISAなど節税目的で購入した銘柄について、せっかく枠を使ったのだからと含み損の状況で売却をためらう自分にとっては考えさせる内容でした。自宅に1冊置いておいても損はないと思います。

2015年5月31日日曜日

2015年5月末の資産状況

今月の振り返り

「セルインメイ!」とか、「日経平均●●年ぶりの●連騰!」とか、「東証一部の時価総額がバブル越え!」とか、どうでもいいのですが、純資産は前月対比で1割という大幅な増加となりました。主に、円安と株高が効いています。

そして、今月も売却なしでした(2014年5月以来売却なし)。一方、日本の中小株2銘柄に新規購入を実行しました。

月末時点のキャッシュ比率は18%程度で、年末時点の目標である25%と比較すると7ポイントほど不足しています。

外貨資産比率は、円資産の増加に伴いジリジリ低下し、67%まで低下してきました。2013年5月の時点ではレバレッジをかけ120%まで引き上げていたが、2年の間におおよそ半分にまで低下してきました。2015年末時点で外貨資産比率を50%とすると考えておりましたので、ほぼ想定通りという状況でしょうか。

今後の投資方針(キャッシュ比率の引き上げ)

今後持ち株を売らずにホールドし続けても、新規投資をゼロとすれば25%程度までキャッシュ比率は上昇します(株価横ばい前提)。

今年残りの基本戦略は、株価水準が「横ばい」もしくはさらに「上昇」する場合には、新規投資をゼロにしたいと考えています。株価がさらに上昇する場合には、リスク資産の評価額が膨らむためキャッシュ比率は25%に届かないことになりますが、異常な価格上昇が起きない限り、持ち株を売却することは考えていません。

逆に、株価水準が「相当に下落」した場合には、新規投資を検討することになるでしょう。

以上をまとめると、持ち株を売ることは考えていないが、新規投資は抑制し静観することになりますね(その結果、キャッシュ比率は上昇)。

こんな感じですが、引き続きよろしくお願いします!

【貯蓄率(59〜64%が目標)】
・202%
 ※貯蓄率は、手取り収入に対する純資産の増加率と定義

【純資産の先月末比】
・円ベース +10.0%
・ドルベース+6.1%
  ※純資産は、総資産から負債をネットアウトしたもの

2015年5月9日土曜日

2015年4月末の資産状況

日本の中小型株を物色

4月は特に指摘することもないぐらい平穏でしたね。5月入り後にイエレン議長が株価は総じて高いと発言したり、長期金利が少し上昇したりとそれなりの動きがありますが、大きな出来事は起きていないと認識しています。

個人的に気になっているのは、ドル高トレンドの風向きが変わってきていることぐらいでしょうか(対円では殆ど変化がないのが不気味・・・)。さすがにこれ以上のドル高はきついでしょう。

雇用統計をみてもアメリカ経済が回復基調にあることは間違いなさそうですし、売却する必要を感じるほど株価が割高とも思えませんので、かれこれ1年以上、株を買い増し続けています。

とはいえグローバル企業の株価は、食指が伸びるほどの魅力がないのは事実で、最近は配当金を再投資する程度です。このため最近は日本企業を中心に幅広く銘柄分析をしています。

銘柄分析をする中で目ぼしい銘柄が幾つか見つかったので、4月から5月にかけて少し投資実行しました。いずれも東証1部上場ですが小さな企業です。バリュエーションは実績PERベースでざっくり10倍前後です。株主優待もなく、機関投資家が寄り付かない企業はこの程度のバリュエーションがごろごろしてますね。

グローバル企業と違って経営リスクが高いのは事実ですが、成長力や過去の経営状況を把握した上で投資すれば、現状のグローバル株よりも高いリターンが取れる可能性が高いと考えています。

引き続きよろしくお願いします!

【貯蓄率(59〜64%が目標)】
・113%
 ※貯蓄率は、手取り収入に対する純資産の増加率と定義

【純資産の先月末比】
・円ベース +2.0%
・ドルベース+2.4%
  ※純資産は、総資産から負債をネットアウトしたもの

2015年4月5日日曜日

2015年3月末の資産状況

アニュアルレポート分析と雑感

3月は外国企業中心にアニュアルレポートが集中して出てくる季節なので、その分析を行っていました。私はエクセルで定型的なファイルを作って分析しているのですが、そのファイルをアップデートしながらいろいろと考えていました。

今のところ気になっているのは、欧米の製薬株などでやや割高感(というよりも収益性に問題)が出てきているものが多いなぁという印象で、これらの扱いに迷いが出ているというところです。日本の製薬株の暴騰ぶりには唖然としつつも、私は大塚HDしか持っていないので関係ないです(^_^;)

また、日米同様ですが、株価が大幅に上昇しているものと、そうでない企業の明暗がはっきりしていると感じています。株価は上昇していないが、しっかり実績を残してきた企業や業界があるのでこうした今のところ目立っていない企業群に分散投資をして、ブルマーケットで大怪我しないようにしたいと思っています。

今月はフィリップモリス(PM)を買い増ししたほか、日本株3銘柄に新規投資を行いました。売却はありませんでした。

引き続き、ゆるーく更新を続けようと思っていますのでよろしくお願いします!

【貯蓄率(59〜64%が目標)】
 25%
 ※貯蓄率は、手取り収入に対する純資産の増加率と定義

【純資産の先月末比】
・円ベース +0.3%
・ドルベース▲0.2%
  ※純資産は、総資産から負債をネットアウトしたもの

2015年3月14日土曜日

2015年2月末の資産状況

初心を忘れずに(自省を込めて)

少し遅くなりましたが2月の振り返りです。

今月も株式市場は好調に推移しました。円安も加わり資産は順調に増加しています。特に、出遅れ気味であった日本の中小型株の上昇も始まっている様子で、とうとう景気拡大も中盤から後半戦に差し掛かりつつあるなという気がしています(前回局面でいうと05~06年ぐらいをイメージ)。

この局面では、株式市場に新規参入者が増えるので、目をつぶって何を買っても報われます(今回は年金基金が目立ち、個人投資家はこれから本格参入か?)。したがって、現時点ではキャッシュ比率をできるだけ引き下げ、レバレッジを効かせることが最も有利な戦略となります。しかし、買いが買いを呼ぶ相場が永遠に続くことはないことは、経験豊かな投資家の皆さんならご承知の通りです。本格的にキャッシュポジションの積み上げが必要になりつつあると考えています。

今月の売買

そういいながら今月は日本株を2銘柄ほど購入しました。売りはなしです。キャッシュ比率は2割弱で2014年からほとんど変化がありません。好調な相場でキャッシュ比率を引き上げることは、言うは容易く、実際に行うのは難しいですね(悲観相場ではその逆となりますね)。

引き続きよろしくお願いします!

【貯蓄率(59〜64%が目標)】
 241%
 ※貯蓄率は、手取り収入に対する純資産の増加率と定義

【純資産の先月末比】
・円ベース +6.7%
・ドルベース+4.9%
  ※純資産は、総資産から負債をネットアウトしたもの

2015年1月31日土曜日

2015年1月末の資産状況

米国株は調整局面入りか

今月は米国株を中心とした海外株がやや弱めでした。これまで「ドル高(しかもかなりのハイペース)」と「株高」が両立してきた訳ですが、通常この動きが長続きすることはありません。ドル高が続けば企業収益が圧迫され株安、ドル安になれば株高というのがセオリーでしょう。特に、輸出企業やグローバル企業はその傾向が顕著になる筈です。一方で、内需株は通貨の動きに対し、そこまで敏感に反応しないということだと考えています。

米国株のバリュエーションは、(個々にばらつきはありますが)総じてみればやや割高だなと感じていますので、▲2割ぐらいの調整は普通にあり得ると思います。株価が伸び悩んでいると思われているグローバル株の代表格フィリップ・モリス(PM)をみても、円ベースでみると全然安くなっていないんですよね。願わくばもう一段安くなってくれないかなぁと思っています。


日本株は強めの動き

転じて日本株は今月なかなかの高パフォーマンスを示しました。特に、日清製粉グループや森永乳業などの食品株がかなり強めの動きとなりました。これまで日本株は「円安」が進んだ割には株価が反応していませんでしたので、その調整かもしれません。もちろん、日本の食品株のバリュエーションは、毎度のことですが既にバブル化している銘柄も多くなっているので、新規参入はには注意が必要です。投資実行時には、成長力とバリュエーションのバランスを考えることが必須ですね。

私があえて日本株を買うのは、インフレヘッジを強く意識しているからです。海外株で補えるかもしれませんが、インフレ時に円安が進まない場合もあり得えるのです。インフレは企業収益やバリュエーションに対して大きなマイナスインパクトを与えますが、インフレ下でも生き残ることのできる企業の株価は、最終的にインフレ後の物価水準に収斂することになります。安定した収益力や耐久力を備え、バリュエーションが適正な企業には淡々と投資する構えです。


今月の売買

NISA口座を利用してユニリーバ(UL)を追加購入しました。売却はなしです。

原油市場の下落がいつオイルメジャーの株価にインパクトを与えるのかが最近の関心事です。昨年から月に一度ぐらいしか投稿していませんが、長期的な視点で見守っていただければ幸いです(笑)

引き続きよろしくお願いします!

【貯蓄率(59〜64%が目標)】
 ▲68%
 ※貯蓄率は、手取り収入に対する純資産の増加率と定義

【純資産の先月末比】
・円ベース ▲1.0%
・ドルベース+1.5%
  ※純資産は、総資産から負債をネットアウトしたもの

2014年12月28日日曜日

2014年の振り返りと2015年の目標設定

2014年のパフォーマンス

まず、ターゲットとして最も重視している貯蓄率(手取り収入に対する純資産の増加率)は、148%と目標である57〜62%を大幅に上回る結果となりました。前年に続き、勤労所得(税金・社会保障費等控除後の手取りベース)以上の純資産増加となりました。

一方、現時点のキャッシュ比率は19%に止まっており、25%としていた目標を大きく下回りました。新規投資を抑制したため、前年末時点に比べると僅かに上昇しましたが、円安・株高によるリスク資産の評価額上昇に追いつきませんでした。特に、下半期の急速な円安進行が誤算でした。

同様の理由から、外貨資産比率も7割超と想定よりも高い水準となっています。ドル高により外貨資産の増加スピードが速く、日本円の蓄積が遅れています。

この結果、総資産から負債を控除した純資産は、2013年末対比で+77%増加しました(ドルベースでは+53%)。

調整がほとんどなかった1年

年初の1月に新興国からの資金流出を嫌気した株価の調整がありましたが、その後は殆ど調整といえる調整がなかった1年でした。エボラショックやら逆オイルショック(笑)などと世間は色々と騒いでいましたが、2月以降は1度も貯蓄率が100%を下回らない(勤労所得以上に資産が増え続ける)という信じ難い1年でした。

売買を振り返ると、海外株ではBRK.B、PEPを買い増しし、ADM、ADP、DOW、ORAN、AZN(一部)を売却しました。海外株は全体で買い増しとなりましたが、むしろ、今年は日本株への投資を増やした1年でした(多くは食品や小売企業への投資です)。

2015年の目標と現時点でのイメージ

2015年の目標は、①貯蓄率を59~64%、②キャッシュ比率を25%とし、基本的に現在のスタンスを維持する形です。

しかしながら、昨年や一昨年とは異なり、相場環境に対しては徐々に警戒感を高めています。世間では徐々に陶酔感が漂い始め、株式投資は報われて当然との認識が広がっているように見受けられるからです。

また、(これまで幅を利かせていた)アメリカ経済の先行きを疑問視する声はかき消され、総強気モードになりつつあるようにみえます。瞬間的にせよ、GDP成長率5%という数字をみせられると仕方ない気もしますが・・・

私もアメリカ経済に対しては基本的に楽観派ですが、株式市場に対しては中立の立場に変わりつつあります。バリュエーションをみると株価上昇余地はそれ程大きくないと思えますし、FRBが引き締めに動き始めていることを考えると、クライマックスは徐々に近づいている気がします。

現在の株価水準が維持されるのであれば、NISAの枠内程度の投資にとどめ、基本的にはキャッシュ待機することを考えています(既存銘柄を売ることは基本的にしない)。あと、エネルギーセクターの調整がさらに進んだ場合は投資を再開するかもしれません。

相場が好調すぎてやる気の出ない1年でしたが、来年も引き続きよろしくお願いします!2015年が皆さまにとってよい年となりますように!!